科学的根拠(エビデンス)で子育て

子育て

科学的、論理的な子育てを標ぼうしている私としては、この本を紹介しないわけにはいきません。慶応大学の中室牧子先生の『科学的根拠(エビデンス)で子育て』(2024年、ダイヤモンド社)です。

中室先生は教育経済学を専門とされ、前著「学力の経済学」でも非常に注目されました。本書では、エビデンスに基づいた子育ての最適な方法について紹介されています。

エビデンスとは?

簡単に言えば、「ある方法を行うと、やらなかった場合と比べて、何らかの効果が統計学的に有意にある」ということです。「統計学的に有意」とは、薬の臨床試験の治療効果(薬を飲んだ人と飲まなかった人で差が見られたか)などでも使われる手法です。

私が読んだ中で、特に気になった点についてまとめました。

将来の収入を上げるには?

親としては、子供が大人になって働くうえで、収入面での苦労は少ないほうが良いと考えるのが本音ではないでしょうか。本書では、将来の収入を上げるためのエビデンスとして以下が紹介されています。

  • 子供のころにスポーツをさせる 米国の研究では、近い背景を持った子供を高校でスポーツをさせたグループとしなかったグループで、11〜13年後の収入が4.2〜14.8%上がるという報告があるそうです。スポーツの経験者は就職に有利なことや、忍耐力・リーダーシップを学ぶからだと言われています。 体育会系が就職に有利という話もありますし、個人的にも非常に納得感のある結果です。ただ、この論文は米国の高校生です。例えば日本の中学受験を目指す6年生が本格的なスポーツを継続するのは現実的に大変そうです。スポーツ種類(個人競技なのかチームスポーツなのか)、タイミングや量、本人の適性も踏まえて考えるのがよさそうです。
  • リーダーを経験させる リーダー経験のある高校生の11年後を調査した結果、4〜13%高収入であったそうです。リーダーの立場では意思決定や意見調整など、集団をまとめるのに非常に頭を使います。こういったリーダーシップは先天的ではなく、後天的に身につけられるスキルだそうです。 私自身の経験からも「立場は人を成長させる」というのは実感するところです。しかし、この経験をどのタイミングで行うのがベストなのか、我が家の場合は小学生の頃にどこまで意味があるのかなど、データだけでは測れない「使いどころ」が気になります。

非認知能力を上げるには?

次に、本書では非認知能力の向上について書かれています。非認知能力とは、テストで測ることができる認知能力ではなく、物事を進めていくうえで必要な能力と定義されています。

本書では、本来測ることのできない非認知能力を評価することを行っています。ある学生の群に対して、質問票を用いて忍耐力、協調性、自制心などを代理指標として扱っています。その結果、親の経済力、教員の与える付加価値などの違いが非認知能力に影響を与えると書かれています。これらの結果は「群」としてのデータは納得しましたが、個人的には「自分の子供」という個別のケースをどう考えるかを知りたかったです。親の経済力と教員の能力、という意味では子供の環境に投資すること、と解釈ができますがそこまで深掘りした研究があるかどうか、気になります。

親は子供に時間をかけるべきか?

一般的には、親が子供といる時間を伸ばしたほうが成長に良いと感じられます。本書でも、子供が小さいうちほど時間投資の価値があるとのことでした。 共働きの多い昨今、時間を捻出するのは大変ですが、小さいうちはなるべく一緒にいて「よく観察すること」が、その後の関わり方を決める鍵になるのではと考えています。モンテッソーリ教育では、小さい子供をよく観察することが大切と言われていますね。

考察:エビデンスは信頼できる「事実」だが「正解」ではない

本書を読んで改めて感じたのは、エビデンスは信頼できる「事実」ですが、それが必ずしもすべての子にとっての「正解」とは限らないということです。

統計学的なデータは一つの強力な指針になります。しかし全ての子供にとっての正解とは限りません。最後は親としてどう接するか、目の前の子供と向き合いながら一人ひとりの最善なアプローチを試行錯誤していくことが何より大切なのではないでしょうか。

後半は小学生以降、進学先など子供の手が徐々に離れていったときの子育てについて書かれています。

次回に続きます!

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